ディスコグラフィー

奏[かなで] ─薫り立つフランス・ヴァイオリン音楽の詩情─

奏[かなで] ─薫り立つフランス・ヴァイオリン音楽の詩情─

若くして札幌交響楽団のコンサートマスターを務め現在はソリストとして活躍する実力派ヴァイオリニスト三上亮が、洒脱で洗練されたフランス音楽の世界に飛翔する!
19世紀末から20世紀初頭に百花繚乱の文化芸術に包まれたパリの街で大きく花開いたヴァイオリン音楽。その中にあってひときわ洗練された美しさを持つ重要作サン=サーンス、ドビュッシー、フランクの3つのソナタが、優しさと気品に満ちた空間へと変貌してゆく。
大胆にして繊細な三上のヴァイオリンと、当意即妙の息遣いで応える鳥羽亜矢子のピアノ。呼応する2人の気品に満ちた対話は、ただひたすらに流麗で美しい。

「ぶらあぼ」2013年3月号
2007~11年に札幌交響楽団のコンサートマスターを務めた後、多方面で活躍している三上亮の2作目のソロCD。19世紀末~20世紀初頭にパリで生まれたソナタが3曲並ぶ筋の通った内容だ。全体を通して、繊細かつ潤いのある音色と確かな技術による、流麗極まりない音楽が展開。また各曲の描き分けが力みなく成されているので、それぞれの魅力を自然に味わえる。これは鳥羽亜矢子の巧みなピアノも大きく貢献。特に印象的なのは、サン=サーンスのフィナーレ部分で、伸びやかさと躍動感に惹き込まれる。この奏者の高い力量を示す、一聴の価値充分の1枚。 --柴田克彦氏

「音楽現代」2013年3月号
三上のバイオリンは甘い柔らかな音色ながら時折芯の強さを見せ、鳥羽のピアノはクリアな音としっかりした構成感でそれを支える。印象派風の透明感がよく表現されたドビュッシー/ソナタ・ト短調や重厚さが重苦しさにならぬフランクのソナタもさりながら、特にそのような特徴が顕著なのはサン=サーンスのソナタ1番で、両端部分(楽章)など、淡々とした歩みから立ち上がり形成される情熱的な盛り上がりは、聴き手に曲の真価を再評価させるに十分。 --茂木一衛氏

「CDジャーナル」2013年4月号
サン=サーンスがすばらしい。第1楽章での巧みなリズムの扱い、クライマックスでの疾走するパッセージ……テクニックで聴き手を圧倒する奏者はほかにいるだろうが、三上の演奏からは爽やかな風を感じる。彼のボウイングがしなやかであることの証明だ。艶やかな音色と端正な表現のフランクもいい。 --長谷川教通氏

Tzigane[ツィガーヌ]

ツィガーヌ

1.サラサーテ: ツィゴイネルワイゼン 作品20 ZIGEUNERWEISEN OP.20
2.エルガー: 気まぐれ女 作品17 LA CAPRICIEUSE OP.17
3.ファリャ(コハンスキ編曲):スペイン民謡組曲 1 ムーア人の織物  SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 1. EL PANO MORUNO
4.ファリャ(コハンスキ編曲):スペイン民謡組曲 2 子守歌(ナナ)  SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 2. NANA
5.ファリャ(コハンスキ編曲):スペイン民謡組曲 3 カンシオン  SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 3. CANSION
6.ファリャ(コハンスキ編曲): スペイン民謡組曲 6 ホタ SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 6. JOTA
7.ファリャ(コハンスキ編曲): スペイン民謡組曲 5 アストゥリアス地方の歌 SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 5. ASTURIANA
8.ファリャ(コハンスキ編曲):スペイン民謡組曲 4 ポロ SUITE POPULAIRE ESPAGNOLE 4. POLO
9.アクロン(アウアー編曲):ヘブライのメロディー 作品33 HEBREW MELODY OP.33
10.パガニーニ:カンタービレ 作品17 CANTABILE OP.17
11.バルトーク:ルーマニア民族舞曲 ROMAN NEIPI TANCOK
12.ショーソン:詩曲 作品25 POEME OP.25
13.ラヴェル:ツィガーヌ TZIGANE
14.マスネ(マルシック編曲)タイスの瞑想曲 MEDITATION DE "THAIS"

三上亮(ヴァイオリン)、鷲宮美幸(ピアノ)
FOCD9395/¥2,800(税込)/2008.10.21発売
録音:2008年6月9-10日 フィリアホール
発売元:株式会社 フォンテック

札幌交響楽団コンサートマスターの三上亮が待望のCDデビュー。東京藝術大学を首席卒業後、アメリカやスイスで研鑚を積み、2007年帰国後、日本での本格的な演奏活動を開始した。表題作のツィガーヌをはじめとする、名曲小品を集めたこのアルバム。緻密かつ自然なフレージング、繊細で多彩な音色の変化、激しさも優しさも自在に歌い上げる音楽に、深い感動と、今後の活躍の期待を抱かずにはいられない一枚。

レコード芸術/2008年12月号 新譜月評
 「この若いヴァイオリニストがすでに具えている器量のほどには正直言って驚いた。最初の《ツィゴイネルワイゼン》からして、その堂に入った歌いくち、言い知れぬつやをおびた美音を操っての心に触れる表現は「ハイフェッツを彷彿させる」と言うに足るではないか。つづいてエルガーの《気まぐれ女》、ファリャ/コハンスキの《スペイン民謡組曲》、アクロンの《ヘブライのメロディー》-以下、いずれの曲もきわめて見事に、デリカシーを込めた細部の彫琢も忘れずに弾き抜いている。」 濱田滋郎(準推薦)
「その音楽の佇まいの美しさは大変に好ましく、昨今の弓をやたらと振り回す人たちとの違いは歴然だ。もちろん、正確さだけが売りの、ちんまりとした演奏ではない。十分なスケール感とパッションをそなえている。たとえば、表題作の《ツィガーヌ》などは情熱の限りを尽くして奏でられた秀演だ。」那須田務(準推薦)

CDジャーナル/2008年12月号 CD新譜試聴記
 「難曲もさらりと弾き切ってしまう技術の確かさと濁りのない音色が爽やか。バルトークの変則的なリズムも、崩すことなく丁寧に刻んでいく。アクの強さより瑞々しい音楽性に好感。」 長谷川教通

音楽現代/2008年12月号「音現新譜評」にて推薦に選ばれました
「民族系のものを多く入れたこの名曲集が、CDデビュー。技巧的な曲も多いなかで、卓越した技量もみせながら、端正でストイック、透明な歌と抒情性を持っていることが、彼の持ち味であり魅力、というところか。
抒情性はとくにファリャ「スペイン民謡舞曲」で際だち、またバルトーク「ルーマニア民族舞曲」の特異な美しさ、ラヴェル「ツィガーヌ」の迫力も特筆すべきだ。鷲宮美幸のピアノ伴奏も適確。全体としてかなり聴き応えのある充実したアルバムとなっている。」 倉林靖

毎日新聞夕刊/2008年10月30日
「繊細で多彩な音色の変化と歌にあふれる豊かな音楽性で出色の出来。若手バイオリニストのデビューCDとして他を圧倒している。表題曲以外にも、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」など大向こうをうならせる曲が入っている。だが、三上の演奏は派手な見えを切らず、虚飾を排して底に込められた歌だけを取り出す。三上は「アメリカに留学したとき、ハンガリー系の友人がたくさんいて、これらの曲の大本の歌も聞かせてもらったので」。そのように曲の本質を見極める姿勢が、名バイオリニストのアモワイヤルやリジーに絶賛される理由だろう。(梅津時比古)

Descending Dragon

Descending Dragon

国内主要オーケストラのコンサートマスター経験者を含めた室内楽の経験も豊富な実力派たちが集い、2008年に結成されたヴィルタス・クヮルテットが満を持して世に問う、日本の弦楽四重奏の現在進行形。
アニメ「HUNTER×HUNTER」や「DEATH NOTE」、ドラマ「ぴんとこな」などの音楽を担当しアニメ、ゲーム界でもカリスマ的人気を誇る作曲家・平野義久渾身のシリアス作品や、弦楽四重奏のスペシャリスト幸松肇のライフワークである日本民謡組曲の最新作第3番(初録音)、そして武満徹の詩的魅力に溢れたア・ウェイ・アローンを収録。21世紀の弦楽四重奏界を担うエネルギッシュな4人のアプローチが冴えわたる。

主要オケのコンマス経験者ら実力派揃いの弦楽四重奏、ヴィルタス・クヮルテットのアルバム。アニメ『HUNTER×HUNTER』や『DEATH NOTE』などの音楽を担当したカリスマ作曲家・平野義久のシリアス作品を初収録した他、弦楽四重奏のスペシャリスト幸松肇の日本民謡組曲第3番(初録音)、武満徹のア・ウェイ・アローンを収録。日本弦楽四重奏界の現在形を伝える、キレ味鋭い作品。 (C)RS

Antal Dorati: String Octets

Antal Dorati: String Octets

Antal Dorati & Felix Mendelssohn Bartoldy: String Octets
Violin: Oleg Kaskiv
           Ryo MIKAMI
           Valentina SVIATLOVSKAIA
           Vlad STACULEASA
           Edgar PUJOL
Viola: Ettore CAUSA, Bogdan BANU
Violoncello: Pablo de NAVERAN, Xin LU